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では、影山さん、改めてよろしくお願い致します。御前様、私は洗車の途中でしたので、失礼させていただきます。終わり次第、影山さんをお嬢さまのお屋敷へお連れしたら宜しいですか?荷物を運びますよね?
閉まったドアを呆然と見つめていた僕たちに、少し離れたところに立っていた風間が声をかけた。
いや、自分でするよ。後で適当な車貸して
わかりました。では
お辞儀をして、部屋を出ていく風間を見送って、僕と影山を交互に見た慧が、あ!と声を上げた。
私は影山さんのお部屋をお掃除してきます!
ちらりと僕を見て、嬉しそうに笑ってからドアの向こうに消えていく。
なんなんだよ、もぅ
一体何がどうなっているのか
ため息をついて、椅子に座り直した。
影山も知らなかったんだよね?
はい、全くまぁ、麗子お嬢様らしいですけどね
影山がお茶のおかわりをいれてくれながら笑う。
お姉様らしいけど、本当に突然すぎるよ
どうぞ、とティーカップを置く影山の距離が近くて、どきんとする。
これからはずっと一緒だな?
耳元で囁かれて、耳が熱くなる。
かげや
翔
影山がカップを置いた手をテーブルに乗せたまま、僕の顔を覗き込む。
し、翔
良くできました
ふわりと唇が触れて、離れる。
思わずその唇を目で追いそうになって、ぎゅっと、目をつぶった。
耳元で、ふふって影山が笑う。
足りないの?
ちがっ
振り向いたらまた、捕まえられた唇。
何度も重ねられる唇に息が止まる。
ずっと、側にいるよ
うん。くふふ
なんだよ、もう〜!
影山と同時に吹き出した。
影山と僕の間に、何食わぬ顔でシュピーゲルが身体をねじ込んできて、僕を見上げたからだ。
シュピーゲル、お前も一緒にいてくれる?
お前、毎回邪魔すんなよ?
そう言って笑う影山と、ふたりで頭を撫でてやったら、シュピーゲルが満足そうにワンワン!と声を上げた。